「スマートメーターにすると電気代が上がる?」「スマートメーターに変えることで良いことはあるの?」そんな疑問を今回は解消しようと思います。
スマートメーターとは
スマートメーターは、従来のアナログ式電力メーターに代わる、デジタル式の電力メーターです。通信機能が搭載されており、30分ごとの電気使用量を自動で計測し、電力会社に送信します。
2016年の電力自由化を契機に導入が開始され、2024年までに全国の家庭に設置される予定です。
従来のアナログ式電力メーターでは、検針員が毎月1回、各家庭を訪問して手動で計測していました。しかし、スマートメーターであれば、遠隔で自動的に計測できるため、検針員の訪問が不要になります。
また、スマートメーターは電気使用量を詳細に把握できるため、節電対策にも役立ちます。具体的には、以下のことが可能になります。
- 時間帯ごとの電気使用量を確認できる
- 高額料金となる時間帯を把握できる
- 家電ごとの電気使用量を確認できる
これらの情報を参考に、無駄な電力使用を抑えることができます。
スマートメーターの普及率
2024年6月30日現在、日本のスマートメーター普及率は約9割に達しています。
- 2016年の電力自由化以降、急速に普及が進められており、2025年までに全世帯への設置が完了する予定です。
- 地域別で見ると、都市部の方が普及率が高く、農村部ではまだ導入が進んでいないところもあります。
- 電力会社別で見ると、大手電力会社の方が普及率が高く、新電力会社ではまだ導入が進んでいないところもあります。
スマートメーターの設置状況
- 2021年3月末時点では、全世帯の85.7%、6917万台設置されていました。
- 2022年3月末時点では、全世帯の89.3%、7341万台設置されていました。
- 2023年3月末時点では、全世帯の93.1%、7723万台設置されていました。
スマートメーターを導入して電気代が上がる!?
スマートメーターを導入することで、電気代が直接上がることはありません。
スマートメーターは、従来のアナログ式電力計に代わる、通信機能付きのデジタル式電力計です。電気の使用量を詳細に把握できるというメリットがある一方で、電気代が上がるという誤解があるようです。
これは、スマートメーターによって電気の使用量を把握できるようになり、これまで気づいていなかった無駄な電力使用に気づくことができるためです。例えば、待機電力や深夜のテレビ視聴など、無駄な電力使用を見直すことで、電気代を節約することができます。
一方、スマートメーターの通信回線の利用料金や、設置工事費などが別途発生する場合があります。これらの費用は、電気代とは別に請求されます。
また、時間帯別料金制などの新しい電力プランを利用する場合、料金体系によっては電気代が上がる可能性もあります。しかし、時間帯別料金制などの新しい電力プランは、電気使用量が多い時間帯に電力を控えることで、電気代を節約できるプランもあります。
結論として、スマートメーターを導入することで、電気代が直接上がることはありません。むしろ、電気使用量を把握できることで無駄な電力使用を見直し、電気代を節約できる可能性があります。
ただし、通信回線の利用料金や設置工事費などの別途費用や、時間帯別料金制などの新しい電力プランによっては、電気代が上がる可能性もあることを理解しておくことが重要です。
スマートメーターのメリット
スマートメーターは、従来のアナログ式電力メーターに代わる、通信機能付きのデジタル式電力メーターです。 主なメリットは以下の5つが挙げられます。
1. 検針員の訪問が不要
スマートメーターは、30分ごとに電気使用量を自動計測し、電力会社に送信します。 これにより、従来のように検針員が毎月1回自宅を訪問して手動で計測する必要がなくなり、利便性が向上します。
2. 電気使用量を詳細に把握できる
スマートメーターは、時間帯ごとの電気使用量をリアルタイムで把握することができます。 これにより、高額料金となる時間帯や、無駄な電力使用している家電などを特定しやすくなり、節電対策に役立ちます。
3. 停電情報の早期把握が可能
スマートメーターは、停電が発生した際に、電力会社に自動的に情報を送信します。 これにより、電力会社は停電エリアを迅速に把握することができ、復旧作業の効率化につながります。
4. 遠隔操作による送電停止が可能
スマートメーターは、遠隔操作で送電を停止することができます。 これは、旅行などで長期不在にする場合や、災害時などに役立ちます。
5. 新しい電力プランの利用が可能
スマートメーターのデータに基づいて、時間帯別料金制や、従量課金制など、新しい電力プランを利用することができます。
その他のメリット
- 電気代の節約: 上記のメリットを活かすことで、電気代の節約に繋げることができます。
- 省エネ意識の向上: 電気使用量を可視化することで、省エネ意識が向上し、自然と節電に取り組むことができます。
- CO2排出量の削減: 節電につながるため、CO2排出量の削減にも貢献できます。
スマートメーターのデメリット
スマートメーターは、従来のアナログ式電力メーターに代わる、通信機能付きのデジタル式電力メーターです。 多くのメリットがある一方で、以下の5つのデメリットも存在します。
1. 通信回線の利用が必要
スマートメーターは、電力会社に自動的にデータを送信するために、通信回線が必要です。 具体的には、LTE通信、Wi-Fi通信、光通信などが利用されます。
- 通信回線の利用料金が発生する場合がある
- 山間部など、通信環境によってはデータ送信が不安定になる可能性がある
- 通信障害が発生した場合、データ送信が途絶える可能性がある
参考:スマートメーターでかかる通信料金について
スマートメーターで利用する通信料金は、電力会社や通信方式によって異なりますが、月額数百円~数千円程度が一般的です。
主な通信方式と料金目安
- LTE通信: 月額数百円~千円程度
- Wi-Fi通信: 月額数百円~千円程度
- 光通信: 月額千円~数千円程度
通信料金の発生タイミング
- 基本料金: スマートメーターの通信機能を利用するために発生する料金です。月額数百円~千円程度が一般的です。
- 通信量料金: スマートメーターが送受信するデータ量に応じて発生する料金です。多くの場合、月間1GBまで無料で、以降は従量課金となります。
- オプション料金: スマートメーターの遠隔操作機能や、電気使用量見える化サービスなどのオプションを利用する場合に発生する料金です。
通信料金を抑える方法
- 通信量が少ないプランを選ぶ: 電気使用量が少ない場合は、通信量が少ないプランを選ぶことで、通信料金を抑えることができます。
- Wi-Fi通信を利用する: LTE通信よりもWi-Fi通信の方が料金が安い場合があります。
- オプション料金を利用しない: スマートメーターの遠隔操作機能や、電気使用量見える化サービスなどのオプションを利用しない場合は、オプション料金が発生しません。
スマートメーターの通信料金に関する情報
- 各電力会社のホームページ: スマートメーターの通信料金に関する情報は、各電力会社のホームページで確認できます。
- 電気料金比較サイト: 電気料金比較サイトでは、スマートメーターの通信料金を含めた電気料金を比較することができます。
- 消費者庁: 消費者庁のホームページでは、スマートメーターに関する情報や、トラブル事例などが紹介されています。
2. 情報漏洩のリスク
スマートメーターは、電気使用量などの詳細なデータを通信するため、情報漏洩のリスクが懸念されています。
- 不正アクセスにより、個人情報や電気使用量のデータが漏洩する可能性がある
- 情報漏洩対策が不十分な場合、悪用される可能性がある
情報漏洩への対策はあるの?
結論、対策はあります!
電力会社目線、ユーザー目線で対策をご紹介いたします。
電力会社による対策
電力会社は、情報漏洩リスクを防止するために、以下の対策を講じています。
- 暗号化: 通信データを暗号化することで、不正アクセスによる盗み見を防止します。
- アクセス制御: 厳格なアクセス制御システムを導入し、不正なアクセスを防止します。
- 情報セキュリティ体制の強化: 社員教育や内部監査などを強化し、情報セキュリティ体制を強化します。
- 第三者機関の選定: 情報セキュリティ対策に十分な体制を整備している第三者機関を選定します。
ユーザーができる対策
情報漏洩リスクを低減するために、ユーザーは以下の対策を講じることができます。
- パスワードの管理: スマートメーターの利用には、パスワードが必要となります。パスワードは定期的に変更し、他人に漏らさないように注意しましょう。
- ファームウェアの更新: スマートメーターのファームウェアは、定期的に更新されます。更新通知があったら、速やかに更新しましょう。
- 不正な通信の検知: スマートメーターからの通信に不審な点があれば、電力会社に問い合わせましょう。
3. 設置費用がかかる場合がある
スマートメーターの設置には、基本料金とオプション料金がかかる場合があります。
- 設置費用が高額になる場合がある
- すべての電力会社で設置費用が無料とは限らない
4. プライバシーの侵害
スマートメーターは、電気使用量から生活パターンを推測できるため、プライバシーの侵害を懸念する声もあります。
- 電気使用量の詳細なデータが電力会社に把握される
- 世帯人数や生活習慣などが推測される可能性がある
5. 健康への影響
スマートメーターから発せられる電磁波が、人体に悪影響を与えるのではないかという懸念もあります。
- 電磁波の影響に関する科学的な根拠は十分ではない
- 健康被害のリスクは低いと考えられているが、完全に否定することはできない
スマートメーター導入の際の注意点
上記のデメリットを踏まえ、スマートメーター導入を検討する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 通信環境: 自宅の通信環境が良好かどうか確認する
- 情報セキュリティ対策: 情報セキュリティ対策がしっかりしている電力会社を選ぶ
- 設置費用: 設置費用を確認する
- プライバシー: プライバシー保護に関する電力会社の取り組みを確認する
- 電磁波: 電磁波の影響について理解しておく
スマートメーターの設置タイミング
スマートメーターの設置タイミングは、主に以下の4つがあります。
1. アナログ式電力メーターの検定有効期間が終了したタイミング
一般的に、電力メーターの検定有効期間は10年です。検定有効期間が満了になったアナログ式電力メーターは、スマートメーターに交換されます。
2. 家を新築するタイミング
新築の場合は、最初からスマートメーターが設置されます。
3. 電力会社を切り替えるタイミング
電力会社を自由化後、新しい電力会社に切り替えた場合、スマートメーターに交換されます。
4. HEMS機器を設置するタイミング
HEMS(Home Energy Management System)機器を設置する場合は、スマートメーターが必要です。HEMS機器は、スマートメーターのデータを使って、電気の使用量を可視化したり、節電対策をしたりするシステムです。
その他
上記以外にも、電力会社の独自サービスや地域によっては、スマートメーターの設置時期が早まる場合があります。
スマートメーターの設置費用は無料です。また、設置工事も電力会社が委託する業者 が行うため、基本的に立ち会う必要はありません。
スマートメーターの設置方法
スマートメーターの設置は、各地域の一般送配電事業者が委託する工事会社が行います。具体的には、以下の手順で進められます。
1. スマートメーターの申し込み
まず、スマートメーターの設置を希望する電力会社に申し込みます。申し込み方法は、電力会社によって異なりますが、一般的にはWebサイトや電話で行えます。
2. 工事日程の調整
申し込み後、電力会社または工事会社から工事日程の連絡があります。工事時間は、30分~1時間程度です。
3. 工事
工事当日、工事員が自宅に訪問し、以下の作業を行います。
・アナログ式電力メーターの撤去
・スマートメーターの設置
・スマートメーターの設定
工事中は、停電が発生する可能性があります。
4. 工事完了
すべての作業が完了したら、工事員から説明を受け、工事完了となります。
必要な書類
- 電気料金の請求書
- 本人確認書類(免許証など)
費用
スマートメーターの設置費用は、基本料金が無料の電力会社が多いです。ただし、オプション料金として、通信回線の利用料金や、設置工事費などがかかる場合があります。
設置場所
スマートメーターは、一般的に、屋外の電力供給点に設置されます。具体的には、電柱の根元や、建物の外壁などに設置されます。
スマートメーター設置の際の注意点
- スマートメーターの設置には、事前申し込みが必要です。
- 工事は無料で行われます。
- 工事時間は、30分~1時間程度です。
- 工事中は、停電が発生する可能性があります。
- スマートメーターを設置後、HEMS機器を設置することで、電気の使用量をより詳細に把握することができます。
スマートメーター導入を検討すべき人
- 電気代の節約をしたい人
- 省エネに積極的に取り組みたい人
- 停電時のリスクを軽減したい人
- 新しい電力プランを活用したい人
スマートメーター導入を検討すべきでない人
- 通信回線の利用料金を負担したくない人
- 情報漏洩のリスクを極力避けたい人
- 設置費用を負担したくない人
- プライバシー保護に強いこだわりを持っている人
- 電磁波の影響を懸念している人
よくある質問
- Qスマートメーターとは何ですか?
- A
スマートメーターは、従来のアナログ式電力計に代わる、通信機能付きのデジタル式電力計です。2016年の電力自由化を契機に導入が開始され、2024年までに全国の家庭に設置される予定です。
- Qスマートメーターのメリットは何ですか?
- A
スマートメーター導入の主なメリットは以下の5つが挙げられます。
1. 検針員の訪問が不要
2. 電気使用量を詳細に把握できる
3. 停電情報の早期把握が可能
4. 遠隔操作による送電停止が可能
5. 新しい電力プランの利用が可能
- Qスマートメーターのデメリットは何ですか?
- A
スマートメーター導入の主なデメリットは以下の5つが挙げられます。
1.通信回線の利用が必要
2. 情報漏洩のリスク
3. 設置費用がかかる場合がある
4. プライバシーの侵害
5. 健康への影響
- Qスマートメーター導入の注意点はありますか?
- A
スマートメーター導入を検討する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 通信環境: 自宅の通信環境が良好かどうか確認する
- 情報セキュリティ対策: 情報セキュリティ対策がしっかりしている電力会社を選ぶ
- 設置費用: 設置費用を確認する
- プライバシー: プライバシー保護に関する電力会社の取り組みを確認する
- 電磁波: 電磁波の影響について理解しておく
- Qスマートメーターに変える方法を教えてください。
- A
スマートメーターへの切り替えは、お住まいの地域の電力会社によって手続き方法が異なります。以下は、一般的な流れです。
1. 電力会社に申し込み
2. 設置日程の調整
3. 工事
4. 完了
- Qスマートメーターに変えるべきでしょうか?
- A
スマートメーターへの切り替え、おすすめかどうかは、状況によって異なってきます。
メリットとデメリットを理解した上で、ご自身のライフスタイルや考え方に合致するか判断することが重要です。
- Qスマートメーターに対応していない電力会社はありますか?
- A
2024年6月30日現在、すべての電力会社がスマートメーターに対応しています。
2016年の電力自由化以降、スマートメーターの導入が全国的に進められており、2025年までに全世帯への設置が完了する予定です。
2016年の電力自由化以前は、一部の電力会社がスマートメーターの導入を検討していましたが、技術的な課題やコストの問題などから、導入が進まない状況でした。
しかし、2016年に電力自由化がされると、競争が激化し、電力会社は顧客満足度向上や省エネ対策のため、スマートメーターの導入に積極的になりました。
まとめ
スマートメーターについて解説してきました。
結論、スマートメーターに変えることで電気代が高くなるということはありません。むしろ電気代節約につながる可能性が高いです。
ただ、スマートメーター導入を考える場合はメリット・デメリットを正しく理解しておくことが必要となります。
電気代節約が目的の方は、以下の記事で電気代の節約についてどのサイトよりも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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